七夕飾りの短冊を染めようと「夢」「願い」と思っていたら、小学4年生の時に出会った立原道造の詩、「夢見たものは」を思い出した。
幼い私は、意味もわからず、ただその詩から流れてくる匂いが好きで
毎晩、詩を一つ読んでから寝ていた。
今日もページからは同じ匂いがして、魔法のように立原の世界が目の前に広がった。
それはまるで、今、私が染めている時と同じような感覚。
私の染めの原点の一つに、立原がいるような気がした。
夢みたものは.......
夢みたものは ひとつの幸福
ねがったものは ひとつの愛
山なみのあちらにも しづかな村がある
明るい日曜日の 青い空がある
日傘をさした 田舎の娘らが
着かざって 唄をうたつてゐる
大きなまるい輪をかいて
田舎の娘らが 踊ををどつてゐる
告げて うたつてゐるのは
青い翼の一羽の小鳥
低い枝で うたつてゐる
夢みたものは ひとつの愛
ねがったものは ひとつの幸福
それらはすべてここに ある と
今もこうして、ひとつひとつ文字を感じながら
初めてこの詩と出会った時と同じような色合いが
私のハートに広がる。
小学4年の私は、
言葉の意味じゃなくて色合いや匂いに触れていたんだなと思う。
懐くかしくなって詩集を1ページ1ページ開いていくと、
はさまれていた薔薇の花びらが出てきた。
「愛する リルケの主題によるヴァリエエション」のページには、
月日で染められた薔薇の花びらの跡があった。
きっとそれは
高校3年生の時だと思った。
教育実習で来られた先生が、
「この中で、立原道造を知っている人?」
教育実習の初日に先生が問いかけた時のことを思い出す。私の席は廊下側だった。
教育実習で来られたO先生は、卒論のテーマは「立原道造」だった。
私も驚いたが、きっと大学4年生のO先生も驚かれたでしょう。
それから、教育実習中は、放課後の図書館で
先生と立原のことを語り合った。
きっとその時の花びらだろう。
あの頃もまだ、詩の意味も背景もわからずにいた私だったと思う。
立原道造は、25才の若さで亡くなっている。
アイドル並みな、ハンサムな方だった。
そうそう、私が中学生時代、少女漫画リボンを愛読していたのですが、
そこで連載されていた陸奥A子さんの漫画に、きっと立原道造が主人公じゃないかな?
と思う漫画があった。
もしかしたら中学生の私は、その漫画を通して立原道造に恋をしていたのかもしれない。
想像が広がる。
何かしら
私が染めている時の感覚が、立原の中にあると感じる今。
今だから、もう一度、純粋に立原を感じることができるような気がする。
今晩から寝る前・立原を再開しよう。
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