KICK OFF 55

2月1日で55歳の誕生日を迎えることになりました。

今回は、誕生日前に深く潜り込むような期間となりましたが、

誕生日を迎えると共に、飛び出す元気が生まれました。

そういえば、誕生日の夜は、近くの源泉掛け流し温泉の露天風呂でサッカー観戦をしていて

日本がカタールゴールを狙う時、湯船の中からゴールに向かって私の足も水飛沫!!!

見知らぬお姉さんは、湯船からヘディングをして水飛沫をあげていました(笑)

キックオフです!




さてさて、1月は会社の決算月でもあり、溜め込んだ領収書の整理や、税理士さんに提出する

資料をまとめながら苦手な数字が目の前に。

また、今回は引越しでもないのに、手続きの書類をたくさん書く機会も続き、

自身の手続きもありながら、家族の諸々の手続きもあり、変わり時なんだなと感じながらも

苦手な事務仕事、数字を目の前に意気消沈でした。


そしてこちらに越して、1月末でちょうど5年。家族のケアと共に5年が経っていた。

実家をリノベーションして敷地内にアトリエを建てる計画は2度も延期となった。

仮のスペースとして借りたこのアトリエは手狭で、ルービッキュキューブの面を変えるように

場面場面でレイアウト変更であり、手描きで製作したいものを作ることもできない。


決算棚卸しと共に古くなった物たちを捨てながら、この5年分の曖昧になった荷物たちを

見ながら、はて、私が本当に望む人生の景色は何なのか?」

そんな問いかける日々。5年分の人生決算までもしながら深く潜り込んでおりました。


一つの時代の終わり〜


色々と世間も節目なのでしょうか?

幼い頃からあたり前にあったランドマークの建物が取り壊しになったり

特に、20数年通い慣れたA.P.FRANCEブティックが閉店は衝撃でした。

閉店の日が近づくに連れ、振り返りながら。。。


A.P.FRANCEは、元、ハイブランドのデザイナーが自身の新たな表現として立ち上げたブランドの

お洋服やアクセサリーや、独特のデザイン性のある物を扱うお店。

洋服やアクセサリーから、その作り手の人間性や感性、温度が感じられ、毎シーズン感動がある。

そして、私は、ここの洋服やアクセサリーと共に、色々な節目を迎えていった。

嘘のない接客も心地よく、プライベートでも仲良くしていた。


このお店の常連さんになったのは、30歳前半の頃。

そろそろ、きちんとした大人になろうと思い始めた私は、有名ブランドのGとかのバッグを買ったり

真面目そうなスーツや靴、小さめの本物アクセサリーを身につけ始め、何だか息苦しくなっていた。

そんな時に、ふらっと入ったH.P.FRANCEブティックで出会った、ビットリーのアクセサリー。

フランスのデザイナーで、もともと歯科技工士だった繊細なテクニックのアクセサリー。

ドラマティックなモチーフ、そのシーズンは、鳥と虫がテーマで、鳥かごのネックレスや、

直径15cmの大きなイヤリングが嬉しくて、そしてそのデザインの物語に高揚した。

そして、楽しいお洋服をいっぱい着て元気になった。


「私は、やっぱり、こっちの人!!!」


生真面目そうな大人仕様とは、おさらばした。

一つの気の迷いだけではなく、いつもどこかで「普通・生真面目」に憧れがどこかにある私だった。


しかし、それからは、毎シーズン、特に激しいデザインの物は、私用に用意され、

その激しいデザイン、個性的な洋服やアクセサリーを纏うと、私らしさが出る。

ああ、これが私。幼い頃から洋服の中で育った、私の着道楽の歴史と。


いつも自分を確認する場所でもあったA.P.FRANCE名古屋パルコ店。


そして、それぞれのアーティストの人間性を感じること、作り手の何かを感じ取ることが

私の創作の原点にもなっていった。



この写真は2008年、Tramandoのデザイナー、マルティン・チュルバとの写真。

この日もマルティンのお洋服を着て、次のシーズンにroomsという洋服の大きな展示会に出店しようと下見に出かけた時に偶然、マルティンと会って写真を撮った時のもの。

次の年は、自身のブランドを出店させて、この会場でマルティンと出会う!と決めて

1年後、出店した。展示会、最終日にうちのブースの前を通りがかったマルティンを見つけて

涙した時の写真がこちらです。

その1年も、相当、大変なことが続いての、その最終日に、うちの前を偶然ですよ。

そりゃ〜泣きますよ。

Tramandoのマルティンは、アルゼンチンのデザイナーで、モスキーノやロメオジリなどに

テキスタイルを提供するテキスタイルデザイナーを経て、自身のブランドを立ち上げた。

そして、ホームレスなど、生活が苦しい人達に向けて染めを教えたりして自立支援をする。

アバンギャルドで、斬新な彼のデザインには、目に見えないところに、その温かさがあるから

でしょうか。幸せいっぱいの洋服です。

そんな社会性をもリスペクト。


そんなマルティンとの縁もH.P.FRANCEブティック。


そして、H.P.FRANCEは、かっこいいフランスマダムの、フランソワーズ・セーグル・キャロル

の哲学にも魅了された。スタッフの方々もフランソワーズの名言を教科書として研修を受けている

そうですが、私も彼女の言葉に背筋を伸ばした記憶があります。


オープン当初からあるカウンター。

このカウンター越しに、いろんなことを話し、

そして、会社を設立した頃は、資金繰りが大変だったので、「今貧乏だから買えないよ!」と

笑って逃げた記憶。なんだか、私の人生の一部が終わる感じがして、

誕生日の前日に最後のお買い物をした時は、涙しながらこのカウンターに

「お世話になりました」と挨拶をした。



人生の季節の色は、刻々と変わっていく。

自身のことだけでなく、家族のことや様々な外的な環境の変化。

55歳。

私は、どんな暮らし、コップ一つにしても、このコップでお水を飲む生活を夢見ていたのか?

なんて、自分に問いかけたり、


私の今世の人生のマックスは、ここなのだろうか?

ここからグラデーションのように緩やかに暮らすのか?と隠居的なことを考えたり、誕生日前は、深く潜っていました。


しかし誕生日の朝にテレビのニュースでキングカズが、51歳で現役でサッカー選手を

頑張るトレーニング姿を見た時、ふっと緊張が抜けた。

美容師が、ハサミを置く時を決めるようにと、色々と例えられるが、一生、ハサミを握り続ける格好良さもある。と。

キングカズは格好良い!


そして誕生日の夜に、露天風呂で観戦した日本:カタールのサッカーの試合に興奮して

温泉の中から水飛沫を上げてシュートを決めた私の右足。


キックオフ!!!

後半戦のキックオフ!!!


新たに挑戦をしようと、

自身の中にまだある、表現したい世界を描こうと新たに一歩踏み出す決意をした。





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