2015年グランプリ作品 本場奄美大島紬・月光
今日は中秋の名月。
神様の依り代と言われますススキも手に入り、今宵の月を待つ。
うちのストールの色は、私がオリジナルに色名をつけている。
色名に月がある色は、宇月色、種月色、梓月色、桜月色など何色かあるが、
月といえば、2005年グランプリ受賞の「月光」の大島紬。
師匠が、ある日、見上げた月の色を自身の手の中で染めたいと、5年をかけてたどり着いた月の色
をこの月光の大島紬の中に表現した。
そして私は、この月光の大島紬に惹かれて、たくさんの旅をした。
月光は、私に大島紬の経、人々の心の経への旅へと連れ出し、色々なことを教えてくれました。
頑張って来れたのも、この月光の存在があったからだと思います。
2012年、umu-wakaのExhibitionの時に、この界隈の金色たちをストールに染めた。
金蝶羽色・kinchouhane-iro
金香花色・kinkouhana-iro
銀香蘭色・ginkouran-iro
富貴色・fuki-iro
宝麓色・houroku-iro
填星色・tensei-iro
賓檸檬色・marouremon-iro
師匠が染めた月光界隈の色のストールは
現在、数色、数枚残っている。
静かな佇まいで、存在している色群のストールたち。
まるで、あの時のまま瞬間冷凍でもしたように、色もストールも休火山のように眠っている
かのように、静かに存在していた。
時を繋ぐ〜
今回の新色として
ひょんなことから生まれた「黄金色」のストール。
そして意図として染めた「白金色」のストール。
私が染める金色は、師匠の優しい色合いとは違って
ダイナミックで、力強い金色になった。
師匠の男性の繊細な優しさの金色は、女性的な感じがした。
反対に、女性の私が染める金色は、大胆で男性的なのかもしれない。
自身の質、人としての質、魂としての質。
描いていく自身の質を、まざまざと見せられたような感じがした。
打たれても、やって行くしかない人生。マグマのようなサガ。
自身が染めた金色たちを染めた後、ディスプレイツールにかけて
色達を眺めている時、その背後に、その先に陳列してあった師匠の金色群があった。
陰と陽
二つが統合されて、全ての金色群が閃光を放ち始めた。
止まっていた時が動き出した。
その閃光は、古い時と未来の時が一直線に繋がった。
本当に、目には見えない、その時間、時が繋がった。
すごく不思議な瞬間だったが、
二つが統合することで、チクタクと時を刻む音が始まり
心臓が血液を送り出す、その鼓動がアトリエに響いた。
中秋の名月
そういえば、月光色という色名はまだなかったな。
月光仮面、黄金バット、年齢が知れるね。
師匠の生多良は、月光の中に黄金を観たんだなと。
今宵の中秋の名月。
私は、何色を観て、どの時へ行くのだろう。
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