糸正直


今秋のCollection、新作のシルクモヘアの袋織りのストールは12枚だけ仕込んだのですが、

先日の名古屋のExhibitionで9枚が嫁ぎ、現在3枚の在庫です。


この織物は、

特別なもので、特にこのストールに用いられたモヘアの糸は、世界でも唯一の糸。

世界のトップブランドに提供されている極細モヘア糸『フウガ』です。

この極上モヘア糸「フウガ」は、南アフリカのアンゴラヤギの毛1グラムを

44メートルまで伸ばしたもの。これは従来のモヘア糸の半分以下の太さです。

しかも普通、モヘア糸をつくるときはウールをつなぎにするんですが、

これは100%モヘア。だからこそ、優しく滑らかな手触りになる。

この糸は、ずいぶん前になりますが、前米国大統領オバマ大統領就任式の時に

ミッシェル夫人が着ていたニナリッチのカーディガンが話題になり、この糸が注目されました。


そしてこの糸を、さらに進化させてストールに施す。

通常は、モヘアの繊維は硬いので、いくら繊維を細くしてもストールには適さない。

しなやかな風合いのストールにはないのですが、うちの織元さんの研究を重ねて生まれた

ストールが、このうちのシルクモヘア袋織りの、このストールなんです。



本日、織元さんへ追加で仕込みたいと連絡をしたら

仕込むことはできるけど、このモヘアを仕入れるのには待ち時間が長いとのこと。

そして、うちのような小さな工場が仕入れようと思っても、30gも仕入れられないんだよ。と。


そして、またまた私からの発注は最小ロット50枚。制作工程環境ももありますからね。

もし、また制作することができるとしても、来年以降になるか。。。。。

難しいか、どちらかです。


東京へは、3枚、お持ちすることができます。




今日は、織元さんと長い時間お話をした。

うちの創業時にもお世話になった織元の社長さん。

資金繰りが苦しい時に、支払いができる時だけで良いよと、100万円分ぐらいのストール布地

をポーンと送ってくれた。ツケ払い残金250万円まで行ったことがある。

ツケを完済したあと、100枚のオーダーをかけたら、ワカさんも100枚オーダーができるように

なったんだね。酒盛りだ!!!と祝ってくださった。

こだわりの糸に、こだわりの布地を研究し続けて織元さんとこも5000万の借金があるのに

うちの借金を引き受けた下さった織元さん。


糸にこだわり、こだわりの糸を膨大の量を抱え続けるリスク。

色にこだわり、こだわりの色を膨大の枚数抱え続けるリスク。

キチガイ度が似ているからね〜俺ら。と。


社長は言う。

機屋の間では、「糸正直」と言う言葉がある。

人間も正直が一番だけど、悪い糸、ケチった糸を使って織ったら雑巾になる。

糸の良し悪しで変わるんだと。


うちの10年。

この織元の社長さんの布地のおかげ様で、良い色を出し続けることができる。

感謝でしかない。


糸正直。

色道楽。

色正直。


ありがとうございます。




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